コーポレートガバナンス協会は、日本におけるコーポレートガバナンスの啓蒙教育と企業の社会貢献活動について広く普及させるために人材育成教育を行う特定非営利活動法人です。

2015年9月に当協会のホームページに掲載した弁護士服部秀一氏の「講演録コーポレートガバナンス・コードの検討」について、多数の方々よりアクセスいただきました。

これを受けて、今般、弁護士服部秀一氏・弁護士服部滋多氏よりコーポレートガバナンス・コード補充原則4-11③に関して、「取締役会全体の実効性の分析・評価の一手法=質問票書式」を追加寄稿いただきました。

取締役会全体の実効性の分析・評価の一手法=質問票方式 服部秀一・服部滋多

(注1)本寄稿の文責は、服部秀一弁護士と服部滋多弁護士にあります。特定非営利活動法人コーポレートガバナンス協会の見解ではありません。

目 次

1 コーポレートガバナンス・コード

平成27年12月末までに、上場会社の3月決算期末の会社の新株式でのコーポレートガバナンス報告書が提出された。東京証券取引所の有価証券上場規定419条により上場会社はコーポレートガバナンス報告書の提出を要し、また445条の3では上場会社における「コーポレートガバナンス・コード」の尊重の努力義務が規定され、436条の3はコーポレートガバナンス報告書において、「コーポレートガバナンス・コード」の各原則を実施するか、実施しない場合はその理由の説明が求められている(注1)。筆者らは、これらのコーポレートガバナンス報告書への記載の方針として「実施していない原則を実施していると記載しない。」「実施する意向がないのに、実施しますと記載しない。」を採用するように推奨している。

平成28年1月2日、東京証券取引所が公表した「コーポレートガバナンスコードへの対応状況」では、提出された市場一部・二部の上場会社のコーポレート・ガバナンス報告書で実施(コンプライ)している最低だった項目は、下記の『取締役会全体の実効性の分析・評価』であった。

原則4-11 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件

取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、財務・会計に関する適切な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。

取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。

補充原則

4-11 ①

取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、財務・会計に関する適切な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。

4-11 ②

社外取締役・社外監査役をはじめ、取締役・監査役は、その役割・責務を適切に果たすために必要となる時間・労力を取締役・監査役の業務に振り向けるべきである。こうした観点から、例えば、取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべきであり、上場会社は、その兼任状況を毎年開示すべきである。

4-11 ③

取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべきである(注2)。

(注1)実施しない理由の記載を要する原則は、市場一部・二部の上場会社では5つの基本原則、30の原則と38の補充原則の合計73原則のすべて、マザーズ・JASDAQの上場会社は5つの基本原則のみである。

(注2)結果の概要の開示については、中村慎二・商事法務2080号54頁・55頁図表3。北川哲雄ほか・商事法務2052号7頁以下。

2 実効性の分析・評価の採否 >>

服部 秀一(はっとり しゅういち)

[ 略 歴 ]

  • 1976年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
  • 1984年 弁護士登録(東京弁護士会)
  • 2007年 慶應義塾大学法科大学院講師(金融商品取引法担当)〔現任〕
  • 2012年 東京弁護士会会社法部副部長〔現任〕

[ 主要著書 ]

  • 『一般投資家にもよくわかる金融商品取引法 平成20年改正対応』 (青林書院)
  • 『東京弁護士会会社法部編 ガイドラインシリーズ(共同執筆) 新株主総会ガイドライン〔第2版〕、新取締役会ガイドライン(商事法務)、インサイダー取引規制ガイドライン、監査役・監査役会ガイドライン、利益供与ガイドライン〔改訂版〕、改正商法ガイドライン(商事法務研究会)』 (青林書院)
  • 『経営紛争の上手な対処法』 (共編 民事法研究会)
  • 『株主代表訴訟Q&A』 (平岡高志編 金融財政事情研究会)
  • 『取締役・監査役70のルール』 (平岡高志編 金融財政事情研究会)

服部 滋多(はっとり しげた)

[ 略 歴 ]

  • 2011年 慶應義塾大学経済学部卒業
  • 2014年 法政大学法科大学院修了
  • 2015年 弁護士登録(東京弁護士会)
  • 2015年 服部総合法律事務所入所

[ 著者連絡先 ]

  • 服部総合法律事務所
  • 〒101-0004 東京都千代田区大手町2丁目2番1号 新大手町ビル2階249区
  • 電話 03(6262)1255 ※平成27年7月27日以前は、03(3295)4222
  • URL:http://homepage3.nifty.com/hattori-sougou