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![]() 参議院で郵政関連法案が否決されただけなのになぜ衆議院の解散なの?という声をよく耳にする。参議院も解散できるのであればそうするのだろうが、参議院には解散という制度そのものがない。 ともすれば忘れられがちだが参議院議員の任期は6年で固定しており、3年毎に半数が改選される。だから解散のみならず「総」選挙も衆議院にしかない。内閣の意思と国会の意思が食い違ったときに国民が投票によって軍配を上げ決着をつける、それが解散総選挙なのだ。総選挙において示される国民の意思は、国民主権国家の方向性決定において憲法上最高の価値が与えられている。困ったときの神頼みとよく言うが、解散はいわばプロの政治家だけでは決着の付かない膠着状態を「民の声」によって打開する究極の手段といえるのだ。今回内閣が最重要課題と位置づけてきた法案が国会で否決されたのであるから、事実上の内閣不信任と考えて解散に踏み切ることは正当な選択肢の一つである。![]() 解散はいつでもできるのか?この点は実は新憲法下の初めての解散のときから争われた基本的問題だ。憲法は69条で内閣不信任成立のときの解散を定めているが、はたしてその場合だけに限られるのかという問題である。現憲法を素直に読めばそのような感じがするし制定当時はそのように考えられていた形跡もあるが、実際には7条(天皇の国事行為)を根拠に解散できるという慣行が確立してしまっている。7条解散なら時季的制約はない。
結局政府は法制局の見解に基づき「解散権は内閣にあり」との解釈を確定させ、内閣不信任成立を踏まえて「日本国憲法第69条及び第7条により解散する」という解散詔書により解散が行なわれた。以後7条による解散は実務的にも定着し、幾度もの解散が7条のみに基づいて行われてきた。1993年宮沢内閣のいわゆる政治改革解散の時には、内閣不信任案が可決されたにもかかわらず69条ではなく7条のみを根拠に即日解散された。 69条か7条かは単なる形式上のことのように考えられがちだが、内閣(総理大臣)がいつでも任意に衆議院を解散できるかどうかは立法府と行政府の基本的関係を律する統治機構上の重大問題であるし、政治的にも大きな違いが生じる。天皇の国事行為を列挙した7条に内閣の権限が創設的に謳われていると考えるのは少し無理な感じもするので、憲法に素直に明文で書き込んだほうがいい問題だ。少なくとも解散権が総理の「伝家の宝刀」だという言い方はこのような憲法解釈に立脚しており、憲法に「いつでも抜ける」任意の解散権が明確に謳われているわけではないことは明記すべきだ。 ![]() |
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